遁世雑記其ノ十九 「耳鼻科通院記最終回 拝啓、鼓膜殿 ご機嫌如何」

(前回のあらすじ)

大型病院にて俺が鼓膜に穴を開けるという所業を成されている間に、5年来の芸術仲間であるOさんが漫画賞を受賞しましたよ!(スペリオール新人コミックオーディション優秀賞「ポルノをかく」
Oさんは俺にとって雲の上の人物であり、ライバルであり、セフレであり、変態であり、またサミュエル・フラー、アンドレイ・タルコフスキー、はたまたロベール・ブレッソンやロバート・アルドリッチなどの話ができる数少ない友人の一人です! そんなわけなんで、皆さんはこんなクソの掃き溜めみたいなブログなんて読んでないでさっさとOさんの漫画を読みましょう! おら早く読めよ哲学書で殴るぞ サルトルで殴る





 * * *




10月8日(火)

通院が始まりました。先生の診療を受け、症状の経過を見つつ、中央治療室にて抗生剤の点滴を受けました。


10月9日(水)

通院2日目。先生の治療を受け、症状の経過を見つつ、中央治療室にて抗生剤の点滴を受けました。


10月10日(木)

通院3日目。先生の治療を受け、症状の経過を見つつ、中央治療室にて抗生剤の点滴を受けました。




なんかアサガオの観察日記の序盤みたいな殺風景な幕開けをしました、耳鼻科通院記もいよいよ最終回となりました。
通院記と銘打っているにも関わらず最終回から通院が始まるという夢野カケラの漫画みたいな感じになってますけど、ここに来て大問題が発生しまして。

通院の3日間が上記に集約されている通り、通院が始まってから何一つ面白いことがないっていうね。

とりあえず順を追って出来事を思い出していきますと、
まずは通院初日の8日、先生が変わりました。美人女医ではなくなりました。女医は女医だったんですけど、腕相撲の無敗記録を持ってそうな女医でした。
「昨日A先生に見てもらってからその後どうですか~」という導入に始まり、診察してもらった情報をフル活用して色んな説明を受けました(初診から大型病院で見てもらう利点はこの情報共有の細かさ。町医者からの紹介だとこうすんなりいかない)

で、鼓膜の穴に関しては痛みが凄かったものの、穴自体は塞がる兆候を見せているので、うまく回復すれば手術は必要ないとのこと。
あとは薬の投与で炎症を抑えるので、あと3日くらい来てくださいねーと云われ、中央治療室にて点滴。
ベッドに寝転んで、相も変わらず太い針をぶっ刺され、天井を見ながら人生について考えていると、隣から軽妙な爺さんとナースの会話が。

「わしな、今日の朝に具合悪くなったんやけど、何となく今日くるんちゃうかて思っててん。何でやと思う?」
「どうしてですか?」
「実はな、丁度先週の今日、火曜や、具合悪なってな。その前が、またその前の火曜や」
「毎週火曜に具合が悪くなるんですね~」
「そうや。周期的に具合が悪くなるんや。生理か、云うてな、ガハハハハ!!」
「それでは点滴の用意ができましたので、腕を出してくださいね~」



触れてやれよ



セクハラで訴えられかねない多大なるリスクを背負った渾身のボケがスルーされていました。
カーテンで遮られていたものの多分この時爺さんは焼き土下座が決定した利根川みたいな顔してたことでしょう。

そんなこんなで初日は終わり。


2日目の金曜も同じ先生(以降ずっと同じ)で、経過も順調で炎症も収まってきてるので早期回復が望めそうとのこと。

この日の点滴治療では、向かいのベッドに中国人カップル(兄弟?)がいました。
治療していたのは男性で、日本語が分からない様子なので、
付き添ってる女性の方が通訳をしてました。
この女性、ロックな外見の割に話し口調は穏やかだったんですが……

「……はい、ありがとうございます」
「それでは、何かあったらナースコールをお願いしますね」
「分かりました。トイレに行きたい場合はどうすればいいですか?」
「その際は、点滴ごと移動できるのでおっしゃってくださいね」
「ありがとうございます。点滴が終わるまでどのくらいですか?」
「およそ2時間30分ほど」
っだひゃぁぁあああああああ!!??



もののけが


眠気も吹っ飛びました。
調べてみると、点滴3時間以上っていうのは普通にあるらしいです(体への急激な負荷を抑えるため)

こうして思い返してみると、何もなかったと云いつつ色んなことがある通院生活です。
面白いことなんてその辺に落ちてるもんで、それをいかに笑いに昇華できるかということです。
視野を広く持って、些細なネタを見落とさないように心がけたいですね。



通院3日目。



本当に何もありませんでした



ただこの日は、回復が思ったより進んでいるので、追加分の薬を出され、1週間後の検査を残して通院は終わりました。
ヤブ医者の治療で苦しむこと1週間、やはり大型病院に行って正解でしたね。

追加分の薬は、粘膜やら染色体やらをどうにかする物ばかりらしく、ステロイドや抗生物質は終わりとのこと。
今、耳が何ともない(鼓膜再生までは自分の声が聴こえにくい)のは薬のお陰で、やめてしまったら再発するんじゃないかとの懸念もありましたが、先生を信じて1週間を乗り切ることに。
この間、先述した違和感が一向に取れず、またカサカサ音も異常にするため、不安に押しつぶされそうな日々でありました。

で、いよいよ薬もすべて切れた10月15日。
担当医は同じくディベートで押されたら拳で圧倒しそうな女医でした(かなり頼りになる)


「その後どうですか、よくなりましたか?」
「痛みは殆ど無くなったんですけど、違和感がすごいです」
「そうですか、ちょっと見てみますね」
「はい」
「…………あー、これは……」
「……どうしました」
「……鼓膜にカビが生えてますね……」







鼓膜にカビが生えている








そんなカビの生えてほしくないものランキング第1位のものに生えられても……
(2位一張羅のスーツ、3位高級フランスパン、4位ラブホテルのシーツ、5位コンドーム)




「鼓膜にカビですか……そりゃ一体どういうことなんですかね」
「症状は大したことないんです。注入薬で治せますから。原因としては……抗生剤が効きすぎたんですね。耳の鼓膜っていうのは元々良い菌と悪い菌がいるんですよ。で、悪い菌を取り除くために抗生剤治療をしたんですけど、効果が強すぎて良い菌まで死んでしまって、カビが生えてしまったということです」


ヤブ医者の抗生剤は効かずに中耳炎が悪化して、
大型病院の抗生剤は効きすぎて耳にカビが生えた。

ははっ! こりゃぁ一本とられた! 

山田くん! 座布団燃やしてしまえ




「痛みとかはあるんですかね」
「痛みはもうないと思います。注入薬を入れた直後はめまいなどの症状があるかもしれません。違和感は残るかもしれませんが、1週間薬を入れれば綺麗になりますよ」
「はぁ……」
「ということで……次回、22日にまた来てくださいね」






また来てくださいね








また来てくださいね











はい行きますよ皆さん



せーの





俺たちの通院は、始まったばかり!!
(ご愛読、ありがとうございました!)













~後日談~


完治しました




(耳鼻科通院記・完)

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プロフィール

寂々兵

Author:寂々兵
都会の映画祭や名画座に指を咥えながら日々を過ごす、シネフィルでもマニアでもない田舎在住の一介の映画好き。たまにライターなど。ヒモになりたい。

好きな監督は
ジャン=ピエール・メルヴィル
クロード・シャブロル
エドワード・ヤン
アレックス・デ・ラ・イグレシア
岡本喜八
など。

最近は専らゼロ年代以降ヨーロッパの喜劇映画や80年代未ソフト化作品の大海をさすらっています。

Twitter
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