渾身の『不運』 78点

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不運(アンジェイ・ムンク/1960波)

とことん不運なオッサンの自叙伝。不運というよりは欲望に忠実すぎたがために引き起こされた必然の不幸で、故に絶妙な悲喜劇と化している。ハチャメチャに面白いが、中盤以降のサイレント喜劇的な動きがちょっとくどいような気も(序盤、少年時代の回想は最高!)。しかし戦争をこんな風に茶化して撮れるのは、岡本喜八しかりルビッチしかり戦争を心から憎んでいる人間だけだなあ。











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語感が良い『湯殿山麓呪い村』 68点

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湯殿山麓呪い村(池田敏春/1984日)

角川による金田一エッセンスの田舎ホラーだが、探偵役(永島敏行)がキチガイすぎて、浮気はするわ、浮気相手の父親に金の無心するわ、恫喝するわでぶっ飛んでいる。オマケにろくな推理もしていないのに、犯人当てだけはしっかりやるなどデタラメすぎて笑う。ラストの唐突すぎる展開はまるでATG。仙道敦子だけがこの映画の癒しであった。仙道敦子ペロペロ。











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人体のデタラメ『探偵物語』 70点

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探偵物語(三池崇史/2007日)

中山一也、真木蔵人、阿藤快、渡辺裕之とリアルにヤバそうなやつがじゃんじゃん出てくる猟奇殺人物。特に中山一也の、人生において絶対に関わりたくない人感。こんなに無茶苦茶な経歴を持つ男を使わない邦画界に未来はない。ナチュラルに放尿する菊池亜希子、スーツ姿ではしゃぐ井上晴美に眼福。ミステリのプロットはシンプルで、他の部分でカルトを狙い過ぎてる感は否めないが、ラストは『悶絶!!どんでん返し』をも凌ぐ身も蓋もない人体のデタラメオチ。三池は最高である。











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アーシア・アルジェントの騎乗位『ニューローズホテル』

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ニューローズホテル(アベル・フェラーラ/1998米)

日本がこうもデタラメに描かれる(それで成立している)映画もそうそうあるもんじゃない。大筋以外はさっぱりワケが分からないが、アーシア・アルジェントの騎乗位が拝めたので概ね満足。オリヴィエ・アサイヤスの『デーモンラヴァー』と併せてどうぞ。












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抑えきれていない野心『セントルイス銀行強盗』 63点

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セントルイス銀行強盗(チャールズ・グッゲンハイム/1959米)

マックイーンのノワール。渋々悪の道に進んでしまうひ弱な青年という設定なのだが、「ここからのし上がってやるぞおお」という煌々とした野心をまったく抑えきれてなくて笑う。そして私情で敵対視していたマックイーンの立場が悪くなってからの、ジェームズ・デュカスの小物臭さ溢れる悪人顔!最高オブ最高。











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ローラ・スメットに人生を壊されたい『石の微笑』 91点

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石の微笑(クロード・シャブロル/2004仏独)

ちょっとこれは凄すぎて言葉にならないので一刻も早く見た方が良い。ローラ・スメット(当時20歳!)の石像をも凌ぐ石像女っぷり、ブノワ・マジメルの人生を破滅させるためだけに生まれてきたのでは。老練の男をも虜にする圧倒的なメンヘラのセックス・アピール。扉の開閉が強烈。洗練が過ぎる晩年シャブロルの中でも断トツで好き。人生ベストの一本。











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違う意味での『鬼畜』 71点

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鬼畜(野村芳太郎/1978日)

現在持て囃されている「天才子役」たちを批判する材料として、よくこの年代の子役の対称的な演技が取り上げられるが、こちらはこちらで「純朴」と持て囃すには棒演技が過ぎて無理がある。虐げられている立場なのにまったく可愛そうに見えない。純朴=すべてが善、じゃなくて、こういう役どころならさすがにもうちょっと演技をしなきゃダメでしょ!(『疑惑』の子役は素晴らしかったぞ!)とまあ、子供好きにとっては非常に辛い映画なんだろうけども、子供嫌いにとっても別の意味で非常に辛い映画である。











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教育を受けたんですか『10番街の殺人』 76点

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10番街の殺人(リチャード・フライシャー/1971英)

リチャード・アッテンボローのキチガイぶりがピックアップされがちだが、真に凄いのはジョン・ハートの精神薄弱ぶり。序盤は自尊心の強いエリートかと思わせて、徐々に虚言癖の一面が見えてくる、彼に対する「コイツはそういう人間なんだな」という意識の変化に、映画の内と外での境界がまるで存在しない。安アパートの管理人と見下していたアッテンボローが学問をかじっていたと判明した際の「教育を受けたんですか」と唖然とする表情、佇まい、ヤバすぎ!途中凡庸な法廷劇になって興醒めしかけたが、ラストの余りのあっけなさも含めてフライシャーでは上位の作品。










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どん底か?『おやじ男優Z』 52点

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おやじ男優Z(池島ゆたか/2013日)

「どん底」と称している割には住むところも妻もいて遠方に頼れる友人もいるという、いまいちどん底感に欠けるオッサンたちの下世話な話。表層的でくだらないが、昭和の人情喜劇的な趣もあって無下にできない味わい深さがある。坂ノ上朝美のおっぱいが物凄い。映画(フィクション)で描かれるAV男優は傲慢で威張っているスケベという紋切型が多いが、実際のところはそんなでもないらしい。











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童貞と爆風『厳重に監視された列車』 83点

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厳重に監視された列車(イジー・メンツェル/1966捷)

大傑作。思春期の男というのは童貞を卒業すること以外にさして目標など無いも同然であって、戦渦においてもなお童貞を卒業することだけに傾注する少年が主人公と言うのは、岡本喜八の『吶喊』然りそれだけで信頼できる。登場シーンは短いものの、性の手ほどきを行うナジャ・ウルバーンコヴァーの魔性の女神っぷり、満点。(今は限界まで肥えた田嶋陽子みたいになってしまってる)











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人肉と家族愛『地獄のモーテル』 61点

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地獄のモーテル(ケヴィン・コナー/1980米)

『悪魔のいけにえ』系譜の家族愛ホラー。ゾンビへのオマージュを生身の人間で捧げてしまう大胆さ。旦那を亡くしたばかりの美女が主役の人肉親父に惚れこんで結婚を申し込んだり、全然顔を隠す必要のないシーンであえて豚のマスクを被る説得力のなさが最高。終盤、"家畜"が既に逃げ出してしまっていることも知らず弟に託そうとする兄と、"家畜"を牛や豚のことだと思って引き受ける弟の"二重のズレ"が感動の兄弟愛溢れるシーンと化していることがクレイジーすぎて笑える。80年代、神聖なるキチガイ映画。












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浪花節だよ文ちゃんは『暴力街』 73点

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暴力街(五社英雄/1974日)

安藤昇と小林旭の2大インテリ狂犬による"仁義ある戦い"の映画なのだが、小林旭が芸能プロダクションの社長でアイドルを育成していたり、対立する関西派の仕業に見せかけるためにチンピラがアイドルを誘拐したりと、実録ヤクザ映画の体裁をとりながらもモダニズム溢れる活劇的展開に思わず見入ってしまう。ジャケットにデカデカと顔を連ねている割に一向に姿を見せない我らが文ちゃんは何の前触れもなく突然現れ、『独立愚連隊』の佐藤允を彷彿とさせる色気と浪花節に満ちたスタイルで安藤昇をサポートして颯爽と立ち去るのだ!かっこよすぎる。しかしながらどう考えてもヤバいのは中盤の養鶏場における安藤昇&夏八木勲VS山本昌平(肩にオウムを乗せたユル・ブリンナー)&マダム・ジョイ(剃刀で闘うオネエ系ストリッパー)の大乱闘。他にこれだけ頭のネジが外れた殺し屋コンビが出てくるのは大和屋竺の『愛欲の罠』くらいじゃないか?まあ任侠と実録、東宝と東映の垣根を壊したようなカルト映画でとても楽しかった。











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老人たちは白目をむいた『暁の挑戦』 77点

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暁の挑戦(舛田利雄/1971日)

「この役者にこういう見せ場を用意しよう」というアイデアを次々と採用していった結果、松竹でも東宝でも東映でも日活でもなく、任侠と実録と社会派がうまいこと共存してしまったある種のカルト映画。長いがまあ面白い。渡哲也の悪漢ぶり、親分を気遣う義侠心、矜持を残しつつ敗北を認める潔さ。侠客伝を期待して140分耐えた老人たちを地獄に突き落とすラストが痛快である。





※未ソフト化





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ジジイと小娘の銃撃戦『死闘の伝説』 74点

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死闘の伝説(木下恵介/1963日)

菅原文太と岩下志麻(仁義と極妻!)の縁談から巻き起こる村の先住民VS疎開者の闘争。田舎バイオレンスは総じて面白い。菅原文太、加藤剛、松川勉といった血の気の多い役者を差し置いて、銃撃戦を繰り広げるのはジジイと小娘のみというのがとてもイイ。木下忠司のビヨンビヨンしたBGMが不安を煽ってくる。厭な映画の傑作。












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プロフィール

寂々兵

Author:寂々兵
都会の映画祭や名画座に指を咥えながら日々を過ごす田舎在住の一介の映画好き。奇怪、不穏、不条理といったテーマの映画に惹かれますがフランスのラブコメも好きです。最近は80年代前後の未DVD化作品の発掘に邁進中。たまにライターなど。将来の目標はヒモ。

*好きな監督*
ジャン=ピエール・メルヴィル
キム・ギヨン
クロード・シャブロル
エドワード・ヤン
アレックス・デ・ラ・イグレシア
岡本喜八


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