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2016年に鑑賞した旧作映画ベスト50

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2016年に鑑賞した初見の旧作映画388本(洋281、邦107)の中の個人的なベスト50です。
面白かった映画や印象深かった映画を好きな順にざっくり並べているだけなので、順位にあまり深い意味はありません。また、1監督1本縛りもありません。
(ここでの旧作の基準は、洋画=2014年以前に本国で、邦画=2015年以前に日本で公開されたものです)
今年からベスト10の作品に脈絡のないコメントを付け始めました。








50.『儀式』 大島渚/1971/日本

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49.『仇討』 今井正/1964/日本

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48.『蛇の卵』 THE SERPENT'S EGG
   イングマール・ベルイマン/1977/アメリカ、西ドイツ

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47.『人間蒸発』 今村昌平/1967/日本

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46.『ギャング』 LE DEUXIEME SOUFFLE
   ジャン=ピエール・メルヴィル/1966/フランス

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45.『死闘の伝説』 木下恵介/1963/日本

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44.『女医の記録』 清水宏/1941/日本

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43.『勝負師』 LE JOUEUR
   クロード・オータン=ララ/1958/フランス、イタリア

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42.『悪魔のような女』 LES DIABOLIQUES
   アンリ=ジョルジュ・クルーゾー/1955/フランス

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41.『シナのルーレット』 CHINESISCHES ROULETTE
   ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー/1976/フランス、西ドイツ

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40.『ドイツ零年』 GERMANIA ANNO ZERO
   ロベルト・ロッセリーニ/1948/イタリア

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39.『探偵物語』 三池崇史/2007/日本

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38.『殺しのリハーサル』 REHEARSAL FOR MURDER
   デヴィッド・グリーン/1982/アメリカ

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37.『鉄路の男』 CZLOWIEK NA TORZE
   アンジェイ・ムンク/1957/ポーランド

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36.『獅子座』 LE SIGNE DU LION
   エリック・ロメール/1959/フランス

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35.『アムステルダム無情』 AMSTERDAMNED
   ディック・マース/1988/オランダ

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34.『ボー・ジェスト』 BEAU GESTE
   ウィリアム・A・ウェルマン/1939/アメリカ

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33.『ビリディアナ』 VIRIDIANA
   ルイス・ブニュエル/1960/スペイン

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32.『男の争い』 DU RIFIFI CHEZ LES HOMMES
   ジュールズ・ダッシン/1955/フランス

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31.『ミュンヘン』 MUNICH
   スティーヴン・スピルバーグ/2005/アメリカ

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30.『東京幻夢』 実相寺昭雄/1986/日本

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29.『NOVO』 NOVO
   ジャン=ピエール・リモザン/2002/フランス

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28.『サムライ』 LE SAMOURAI
   ジャン=ピエール・メルヴィル/1967/フランス

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27.『鬼の棲む館』 三隅研次/1966/日本

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26.『狙撃者』 The Sniper
   エドワード・ドミトリク/1952/アメリカ

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25.『自由への闘い』 THE LAND IS MINE
   ジャン・ルノワール/1943/アメリカ

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24.『ストリート・オブ・ノー・リターン』 STREET OF NO RETURN
   サミュエル・フラー/1989/フランス、ポルトガル

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23.『愛の亡霊』 大島渚/1978/日本

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22.『愛の勝利を ムッソリーニを愛した女』 Vincere
   マルコ・ベロッキオ/2009/イタリア

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21.『厳重に監視された列車』 OSTRE SLEDOVANE VLAKY
   イジー・メンツェル/1966/チェコ

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20.『異魚島』 IODO
   キム・ギヨン/1977/韓国

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19.『グランド・ブダペスト・ホテル』 The Grand Budapest Hotel
   ウェス・アンダーソン/2014/イギリス、ドイツ

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18.『暴力団再武装』 佐藤純彌/1971/日本

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17.『最前線』 MEN IN WAR
   アンソニー・マン/1957/アメリカ

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16.『カップルズ』 麻將
   エドワード・ヤン/1996/台湾

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15.『春夏秋冬そして春』 SPRING, SUMMER, FALL, WINTER... AND SPRING
   キム・ギドク/2003/韓国、ドイツ

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14.『ムーンライティング』 Moonlighting
   イエジー・スコリモフスキ/1982/イギリス

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13.『女は女である』 UNE FEMME EST UNE FEMME
    ジャン=リュック・ゴダール/1961/フランス、イタリア

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12.『按摩と女』 清水宏/1938/日本

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11.『殺人者はライフルを持っている!』 TARGETS
   ピーター・ボグダノヴィッチ/1968/アメリカ


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10.『下女』 THE HOUSEMAID
   キム・ギヨン/1960/韓国

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ブルジョワ家庭に雇われた下女が主人を誘惑する話で、噂に違わぬ怪作。60年代の韓国映画と言えばイ・マニの『魔の階段』があるが、あれよりもよっぽど魔の階段じゃないか?その階段でさながら蛇女にしか見えないイ・ウンシムがビヨーンと伸びた韓国版Blu-rayのジャケットは至極不気味で、まあ映画内でも終盤の重要なシーンなんだが、一周まわって滑稽で笑ってしまった。アン・ソンギの勢いある階段落ちは必見。





9.『愛の犯罪者』 L'AMOUR EST UN CRIME PARFAIT
  アルノー・ラリユー、ジャン=マリー・ラリユー/2013/スイス、フランス


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雪山の小屋で同居している妹との近親相姦的な妖しい関係を匂わせる夢遊病で好色漢の大学教授が、生徒に手を出したり、生徒の母親に手を出されたりしているうちに破滅していく……という何とも情報量の多いあらすじとは裏腹に、始終ミステリアスで静謐に流れる逸品。出てくる人間が総じて黒い心を持っているのに対し、大学の校舎や雪山の白が美しく、風景や建築の眼福映画でもある。趣は違うがこの人間と風景を色の対比で表している感じはチャン・イーバイ『好奇心は猫を殺す』(06)を彷彿とさせる。評価があまり高くないのは、90年代アメリカのエロス・サスペンスみたいなのを想像して鑑賞した人たちがズッコケたから?日本でソフト化されているラリユー兄弟の作品はこれだけなので、『描くべきか愛を交わすべきか』(05)、『パティーとの二十一夜』(15)なんかもソフト化してほしいなあ。






8.『三人の女』 3 WOMEN
   ロバート・アルトマン/1977/アメリカ


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シシー・スペイセク(キャリー)とシェリー・デュヴァル(シャイニングの嫁)という、夜道で出会ったらまず踵を返すようなつかみどころのない女二人のやり取りが凄いんだが、この絶妙な心の機微であれこれ思い悩んだり人間関係が大きく変わったりする様子なんかは実は現代の日本人的なんじゃないか?と思ってしまった。二度と観たいと思わないが、ジャニス・ルールの絵だとか、仮宿での一幕、悪夢としか思えないリハビリセンターでの奇行など強烈に残っている。ところで本作のキャッチコピー、「1人の女が2人に、2人の女が3人に、そして、3人の女が1人になった」怖い!






7.『気狂いピエロの決闘』 BALADA TRISTE DE TROMPETA
   アレックス・デ・ラ・イグレシア/2010/スペイン、フランス


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カロリーナ・バング(死ぬほど美人)を巡ってピエロのオッサンと道化師のオッサンが闘いを繰り広げるだけの映画なんだが、神々しさすら感じた。一度目はまあ普通に面白かったが、後にイグレシア監督の作品を5本ほど見て、当人意外にとっては割とどうでもいい揉め事を壮大なスケールで描く天才なんだ!うわあバカだ!と気付いてから改めて再見したら凄すぎて打ちのめされた。言わずもがなスペインの歴史を寓話的に盛り込んでいるが、そんなところに注目している余裕がないほど矢継ぎ早に映し出される狂気に眩暈がする。





6.『夏の妹』 大島渚/1972/日本

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沖縄返還後、他の三流監督に先を越されたり、横槍が入る前にさっさとこの題材で撮ってしまおう!という大島のエモーショナルな美学が炸裂している一作で、とても良い。浜辺での観念的な会話が非常に鬱陶しいが、それを補って余りあるほど、冒頭のホテルで殿山泰司に絡まれるシーンやギター片手に夜の街を語らいながらふらつくシーンが眼福。戸浦六宏や佐藤慶もお馴染みだがカッコいい。今年は大島渚の映画を20本くらい観たが、これがベスト。画像はあえてりりィを選んだ。





5.『修羅』 松本俊夫/1971/日本

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御用金を騙し取られた塩冶浪士の復讐の話で、ヤバすぎる怪作。女の手に刀を握らせて赤子の顔を貫かせ、討った女の生首に独白をかまし、酒をぶっかける中村嘉葎雄も狂気も去ることながら、時代劇にも関わらず夢と現実と妄想が入り乱れたアバンギャルドぶりにも驚く。生き地獄!





4.『アートスクール・コンフィデンシャル』 ART SCHOOL CONFIDENTIAL
   テリー・ツワイゴフ/2006/アメリカ


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芸術とは何ぞや?知らんわ!映画好きと芸術好きは似て非なるものなのだ。というのはさて置き、これは地方から出てきた童貞君が美大に溢れ返る自意識・承認欲求・ナルシズムの渦に飲まれながらも自身の考える芸術を追及する青春ロマンスミステリブラックコメディというこれまた情報量の多い映画で、何だか分からんのだがとにかく面白い。芸術に対する意識の矛盾とズレ、シニカルな諦観。ブシェミやマルコビッチといった胡散臭そうな大人たちも出ていてとても良い。






3.『石の微笑』 LA DEMOISELLE D'HONNEUR
   クロード・シャブロル/2004/ドイツ、フランス


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シャブロルはとても好きな作家で、どの年代においても高水準の作品を連発してるんだが、そんな中でも晩年の作品はどれも洗練が過ぎていて衝撃を受ける。中でも本作はシャブロルのベストで、大体いつも女で痛い目にあっているブノワ・マジメルが案の定痛い目に合う映画なんだが、彼を破滅させるためだけに生まれてきたのでは?としか思えない相手役のローラ・スメットの石像をも凌ぐ石像女っぷりがとても恐ろしい。老練の男をも虜にする圧倒的なメンヘラのセックス・アピール。エロ怖いなあ。





2.『彼らについて』 A trois on y va
   ジェローム・ボネル/2014/フランス


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カップルの両方と浮気をしている女……という三角関係の話で、縁があって仕事で鑑賞したんだが、これにはたまげた!女って怖いねえ、と言いたくなるような紋切型の愛憎劇、ドロドロ、嫉妬、悶着、一切なし。いわゆるLGBT映画という括りになると思うが、変に説教めいたセリフを演者が言ったりすることなく、ただただ本人たちが楽しんでいるところや、バレるかどうかというスリルをコミカルに演出しようという潔さに痺れる。件の女性を演じたアナイス・ドゥムースティエは弁護士という超インテリでありながら、この恋愛劇に心酔しきっているというギャップもたまらない。他者の介入を許さないような瑞々しさもさることながら、夜のドライブ、夜の逢瀬、浜辺での大はしゃぎなど映画的な嬉しさも満載で、とにかくもう1回観たい!『アバンチュールのとき』(13)と併せてソフト化を切に願う。





1.『階段通りの人々』 A CAIXA
   マノエル・ド・オリヴェイラ/1994/フランス、ポルトガル


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階段通りの街リスボンの一角を舞台にした会話劇で、盲目の老人が持つ黒い箱に群がる人々が善と悪に転じる様、父を否定し続けた娘が思わぬ因果で再起を図る強かさ、淡々とグレードアップしていく豆売りのおばさん、騒動の渦中になぜかいつも居るアメリカ人、そして時間の経過を示すためいきなり現れたバレリーナに『時の踊り』を躍らせる脈絡のなさ、86歳の感性とは到底思えない。恥も外聞もないどす黒い会話の応酬にも関わらず、鑑賞後はハッピーな気分になり、そしてなぜか生きよう!とまで思わされてしまった恐るべき傑作。







おまけ:惜しくもベストから漏れた映画たち10本(年代順)

『セントルイス銀行強盗』 チャールズ・グッゲンハイム、ジョン・スティックス/1951/アメリカ
『アリバイなき男』 フィル・カールソン/1952/アメリカ
『激しい季節』 ヴァレリオ・ズルリーニ/1959/イタリア
『誤発弾』 ユ・ヒョンモク/1961/韓国
『日本春歌考』 大島渚/1967/日本
『四季を売る男』 ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー/1971/西ドイツ
『ミスター・グッドバーを探して』 リチャード・ブルックス/1977/アメリカ
『引き裂かれた女』 クロード・シャブロル/2007/フランス
『女神は二度微笑む』 スジョイ・ゴーシュ/2012/インド
『名探偵ゴッド・アイ』 ジョニー・トー/2013/中国


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私選・劇場版名探偵コナンランキング 2016年12月改訂版

私選・劇場版名探偵コナンランキング2016



・名探偵コナン劇場版20作(『純黒の悪夢』まで。『ルパンVS名探偵コナン』は含まない)の独断と偏見に満ちたランキングです。
・各作品のトリック・犯人等にある程度言及しているので、未見の方はご注意ください。
・毛利蘭への悪意などが随所に見られますが、あくまで個人の感想なので、ご理解のほどよろしくお願いします。





 * * * 




---「もはや目も当てられない」---








第20位:業火の向日葵 (第19作/2015年)

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監督:静野孔文 脚本:櫻井武晴


純然たるキッドファン以外の鑑賞を拒絶するかのような超絶アルティメットクソ駄作。
2作連続でゲスト声優を犯人役に起用する愚行も去ることながら、鑑賞直後に犯行の動機も犯人の名前も忘れるほどの中身の無さには感嘆するほど。
既に20周年記念大作を見越し、心ここにあらずといった杜撰さが満ち満ちている。
チャーリーだかチャッピーだか知らんが、「厭味ったらしい男が最後に粋な計らいをする」というベタなシナリオを用意しておけば観客は喜ぶだろうとでも思ってそうな安直な姿勢にも腹が立つ。
全てにおいてダメ。断トツのワースト。








第19位:紺碧の棺 (第11作/2007年)

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監督:山本泰一郎 脚本:柏原寛司


コナン映画史上最も地味といって過言でない超ハイパークソ駄作。
キッド・黒の組織・服部・FBIなどのサブウェポンが雁首揃えて未登場という点では『業火の向日葵』以上に厄介かもしれない。
いっそのこと始終冒険や宝探しに徹していれば良いものを、殺人事件を入れないと盛り上がらないとでも思ってるのか、申し訳程度の殺人要素として扱われたトレジャーハンターが不憫でならない。
「悪天候なので船は出さない」で一点張りの警察に対し、おっちゃんが「蘭が攫われたってのに、助けに行ったのはメガネの坊主一人だけ!大の大人がこうしてじっと指を咥えて待ってるだけだなんて!!」という台詞だけはグッときた。








第18位:沈黙の15分 (第15作/2011年)

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監督:静野孔文 脚本:古内一成


オープニングだけが異様に盛り上がるウルトラクソ駄作。
無駄に時系列をいじったり、伏線(らしきもの)を配置したり、コナンが語る推理が少し違っていたりと意識が高そうな作りになっているが、どれも機能していないどころか逆に話をややこしくしている。
犯人の畜生ぶりは一見コナン映画史に残りそうだが、初期の芸術に陶酔した犯人たちと比較すればやってることが超小物。
このあたりからコナンが人間であることを投げ出し、角ドリルは特に居なくていい人になってくる。
おっちゃんにいたっては、事故で昏睡していた少年が数年ぶりに目を覚ました現場に駆け付けた女性に対して「あなたはメガネを外した方が美人ですな!」とか言い出す始末。
15周年記念作品としてあらゆる「15」がテーマになった本作、完成度も見事に15点。








---「まぁ、別に見なくてもいいんじゃね」---








第17位:11人目のストライカー (第16作/2012年)

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監督:静野孔文 脚本:古内一成


第1作目『時計じかけの摩天楼』以来、15年ぶりとなる爆弾探しの作品。
久々の爆弾映画ということでスタッフにも気合いが入ったのか、遠藤保仁という名の超大型爆弾が視聴者を迎えてくれる。
劇場版ではお馴染みの「阿笠博士のダジャレクイズ」が容疑者を特定する一つの手掛かりになっているなど、もう何でも有りになってきている。
ここまで各地で大爆発を起こしておきながら、メインのアリバイトリックが地味すぎて洒落にならないレベル。








第16位:銀翼の奇術師 (第8作/2004年)

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監督:山本泰一郎 脚本:古内一成


監督が静野孔文にバトンタッチするまでは『紺碧の棺』と並んで戦犯扱いされていた一作。
飛行機は空の密室とも呼ばれ、クローズドサークル系のミステリには持ってこいの舞台なのだが、それは「ラストで蘭が飛行機を操縦する」という荒唐無稽な展開を作るためだけの壮大な前振りに過ぎなかった。
『ベイカー街の亡霊』『迷宮の十字路』と評価の高い作品群の後でボルテージが高まっていたため、当時リアルタイムで鑑賞してズッコケた人はかなり多いと思われる(それが証拠に、次作『水平線上の陰謀』では興行収入が大きく減少した)
劇中とある女性が「みんな仲が良さそうに見えたけど、実は全員被害者を恨んでいたわ」と一人ひとりの名前を挙げてそれぞれの持ち得る動機を解説する、という謎の大演説を始めたことでもお馴染み。
安定のキッド御用達映画。








---「悪くはないがいまいちパッとしない」---








第15位:天空の難破船 (第14作/2010年)

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監督:山本泰一郎 脚本:古内一成


殺人の起こらない息抜き映画。コナンとキッドがイチャイチャするなど、完全に特定層に媚びた一作。
アクションも控えめになっており、コナンの終盤の対決シーンを除いてはほとんどの人物が危険な目に遭うこともなく、作中屈指のトラブルメーカーである角ドリルにいたっては漆にかぶれただけである。
小田切敏郎、服部平蔵、遠山銀司郎といった警察の渋オヤジたちが一言二言喋って退場という勿体ない扱われ方をしており、ハゲの参事官なる申し訳程度の新キャラも登場したが未だに再登場は無い。
なお今回登場したテロリストたちの軟弱さには定評があり、お互いを「キャットA」「キャットB」などと呼び合う、一般人たちに軽々と制圧される、真犯人にあっさり裏切られるなどまるで某黒の組織を彷彿とさせる。大友龍三郎の無駄遣いもいいところである。








第14位:戦慄の楽譜 (第12作/2008年)

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監督:山本泰一郎 脚本:古内一成


私選名探偵コナンに登場する渋いおっさんランキングに2人も入選するなど随分と渋みのある作品。
作品では「トッカータとフーガ」「アヴェマリア」「主よ、人の望みの喜びよ」「アメージング・グレイス」などの楽曲が演奏され高貴な香りが漂っている反面、ラスト40分間爆発し続けているというマイケル・ベイに匹敵する爆発ぶりが印象的である。
人間関係もややこしく、容疑者たちも放置状態なので誰が犯人とかはもはや二の次なのだが、いい年をこいた爺さんが爆弾、薬物、ダンプ、ライフル、工具などあらゆる武器を持ちだしてくるなど着目すべきポイントもある。まぁ、「殺すことが目的ではなかった」ので加減が難しかったんだろうけども。
なお、本作で「コナンは絶対音感を持っているのに音痴というのは矛盾している」というレビューが頻出しているが、音感と発声は無関係なので普通にあり得る。しかし原作では月光やストラディバリウスなどファンの多い音楽作品、なぜ映画になるとこうなってしまうのか。








第13位:水平線上の陰謀 (第9作/2005年)

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監督:山本泰一郎 脚本:古内一成


数少ないおっちゃんのための映画。
倒叙に見せかけて実は……という工夫がなされていてミステリ的には面白そうなのだが、肝心のアリバイトリックがガバガバすぎて笑える(まぁ真犯人はその雑さを逆手に取ったのだが)
本作きっての悪人キャラである海藤船長はなかなかの渋キャラなのだが、いまいち活躍せず非常に残念。
角ドリルの「船が沈みかけてる時にガラクタを拾いに船へ戻って勝手に死にかける」という愚行はコナン映画史トップ3に入る。








---「特筆すべき点はある」---








第12位:純黒の悪夢 (第20作/2016年)

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監督:静野孔文 脚本:櫻井武晴


20周年記念大作ということで人気絶頂のFBIや公安警察をメインに配置し、小五郎(白痴)や角ドリル(モブ)をほとんど登場させない、更にミステリ要素を中途半端に挿入せずに一切を排除したところまでは英断。
なぜか黒の組織以上に出しゃばっているポンコツ探偵団が警察や財閥のコネを利用して好き放題やってる辺りなんかは、お前らが批判していた『ベイカー街の亡霊』の厭味ったらしい二世三世と同レベルじゃねーか?と思ってしまう。キュラソーはこいつらの無垢さに触れて自分の色がどうとか言ってたが、こいつら全然無垢じゃねえ。
世界各国の諜報機関からスパイが潜入するレベルの組織No.2の右腕が先述の流れであっさり改心してしまう甘っちょろさに加え、警察から組織に潜入している安室が部下との連絡をその辺で平然と取り合っている危機感のなさはもう少し丁寧にやってほしかったとも思う。
だがそれを補うほどのラストのシビアさとあっけなさはコナンでは珍しい。まさか遺体の状態にまで言及するとは。
それとコレは静野コナンの全般に言えることだが、たまたま巻き込まれた一般人が死のうが生きようが知ったこっちゃないとでも言いたげなデタラメで大味なアクションは一周回って笑ってしまう。観覧車はともかく、序盤のカーチェイスなんて100人くらい死んでてもおかしくない。でもまあ、一番気の毒なのは東都水族館の従業員たち。
色々とレビューを読んでみたが、某氏が書いていた「久々にコナンを観たが、今はコナンの世界も大変なことになってんだねえ」という諦観気味な一文が、最近ついていけなくなりつつある初期ファンの心情を的確に表していて気に入っている。








第11位:漆黒の追跡者 (第13作/2009年)

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監督:山本泰一郎 脚本:古内一成


「黒の組織の人間が一般人に殺される」というまたしてもその名に恥じない黒歴史を塗り替えた一作。
そんな中、作中で5本の指に入るであろう有能人物であるアイリッシュさんは、安定のジン兄貴(正確にはジン兄貴が命じたキャンティ)に殺害される。
黒の組織の内輪揉めや終盤の大爆撃の影に隠れているが、本作の犯人は「ホテル火災の際にエレベーターに乗っていた7人を皆殺しにし、北斗七星の形に遺体を配置する」という謎の畜生である。そしてその畜生にすべての罪をなすり付けられ、彼女も死んで人生どん底な水谷君の演技が遠藤保仁に次ぐ歴代2位の棒読みだったことも忘れてはならない。








第10位:異次元の狙撃手 (第18作/2014年)

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監督:静野孔文 脚本:古内一成


FBI、CIA、公安に続きいよいよネイビーシールズまで巻き込んでしまった本作はコナン史上随一のハードボイルド。
作中でもっとも犯人たり得る人物であるとされたティモシー・ハンターが殺害される際、百発百中のスナイパーが至近距離にも関わらず一度弾を外した理由には男泣き必至である。
ただでさえ武器商人の見本市みたいになっている劇場版コナンの犯人たちだが、今回は元軍人が犯人というだけあってMk.11やらバレットM82やらマイクロウージーやらあらゆる銃火器が登場。
シナリオはショボく、外国人キャラはリアリティを追及して英語を喋るもんだから(ピーター・フォードを見習え!)、戸田奈津子よりヘタクソなルール完全無視の字幕の応酬に辟易するが、先述の男泣き要素もあって無下にできない作品でもある。
最近の原作ではほとんどの事件の容疑者が3人とワンパターン化しているが、今回はなんと「殺害される可能性がある人物が3人」「犯人が日本で接触する可能性がある人物も3人」みたいなことを言い始めて大丈夫かよと思った。
ラストの「了解」の圧倒的な魅力に抗えず見事トップ10入り。








---「良いと思うがもう一声!」---








第9位:絶海の探偵 (第17作/2013年)

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監督:静野孔文 脚本:櫻井武晴


予告編で「若狭湾沖で左腕のない死体が!」みたいなことを言ってて、「猟奇連続殺人ものか!?」と至極無駄な期待をしてしまったファンは自分だけではないと思う。「事故」っておい!
本作は海上自衛隊全面協力を謳っただけあり、序盤と終盤の仕事っぷりはなかなか熱いのだが、そこに製作陣が全パワーを注ぎこんでしまうから春麗VSバルログみたいな肉弾戦が平然と差し込まれてしまうのである。
『戦慄の楽譜』以来芸能人のゲスト出演が恒例となり、今回も柴崎コウがメインキャラの一人として出ているが、かなり健闘していると思う。彼女と芸歴がさして変わらない榮倉某とは何だったのか。







第8位:探偵たちの鎮魂歌 (第10作/2006年)

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監督:山本泰一郎 脚本:柏原寛司


10周年記念作として大々的に宣伝された意欲作。
本作の肝は犯人像にあり、こいつが初期のこだま兼嗣作に匹敵するほど自分勝手でエゴむき出しなので、それだけで高評価。
近年の劇場版では身内の復讐といった現実味を帯びた動機が多いが、いくら大量殺人を犯して「妹の復讐!」とか言われても「はぁ、そっすか」としか思えないのが正直なところ。そんなところにリアリズムいらんねん。コナン映画の犯人は、利己的で己の美学に酔い痴れていて、無関係の人間が死のうが知ったことではないというシリアルキラーが必要なのである。
その点で、本作の犯人は「愛する人と犯罪を共有したい」だの「自分を愛していた」だのとまったく意味の分からない戯言を連発し、「推理で人を追い詰めない」が信条のコナンに「あなたは最低の人間だ」と言わしめた超大物。これだけでも、記念作品にしてはいまいち盛り上がりに欠ける本作の評価が跳ね上がる。








第7位:天国へのカウントダウン (第5作/2001年)

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監督:こだま兼嗣 脚本:古内一成


コナンファンからの評価も高くベストに挙げる人も多いが、何度も言っているように自分はあまり黒の組織に映画にまで出張ってほしくない。理由は2つあって、「映画内では組織に関する進展がない」ことと「彼らの起こした事件は迷宮入り扱いされる」というところ。
前者はそのままだが、後者は本作において「本筋の事件に絡んでいる人物をジンが殺害する」という大胆なことをやってしまってるわけで、これによって連続殺人を疑われていた容疑者に確固たるアリバイが出来るというぼたもち的な利点はあるものの、結局は彼らが起こした殺人とビル爆破は「迷宮入りになるだろーな」の一言で片づけられ、それはさすがにないだろ!という思いの方が勝ってしまう。
それでも7位にランクインしたのは芸術に狂ったエゴむき出しの犯人像。他サイトのあり得ない動機ランキングでも「富士山を遮られたから」というのはよく挙がっている。
また『タワーリング・インフェルノ』『ダイ・ハード』『トゥルーライズ』といったアクション映画にもオマージュを捧げており、スタッフの気合いが入っていることが伺える。
あの緊迫した場面での「園子姉ちゃんパンツ丸見え!!」は至言中の至言。








第6位:時計じかけの摩天楼 (第1作/1997年)

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監督:こだま兼嗣 脚本:古内一成


芸術は爆発だ!ならぬ芸術を爆発だ!映画。
どこからどう見ても犯人たり得る人物は一人しかいないのだが、わざわざ声を変えたり、誰からも見られてない場所で髭をつけたりと色々工夫していて笑える。
そんな彼も終盤には「私の最大にして最低の作品だ!君たちの私の美学が分かるまい」「工藤に会ったらこう言っておけ。"お前のために3分間作ってやった。じっくり味わえ"ってな!」などの名言を連発、初代犯人の名に恥じぬカリスマ狂人っぷりを披露してくれた。
ポルノ、舞台、吹き替えと多方面で活躍する山路和弘氏が端役で3回も4回も出演していることは意外と知られていない。
元ネタは『新幹線大爆破』『ジャガーノート』など。








---「面白い!何度でも観たい!」---








第5位:14番目の標的 (第2作/1998年)

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監督:こだま兼嗣 脚本:古内一成


アガサ・クリスティにオマージュを捧げたガッチガチの本格ミステリ。
おっちゃんが刑事をやめたエピソード、妃英理との別居の真相などの原作で扱われてもおかしくない過去エピソードが劇場版2作目にして描かれるレア感。
女将さんの命が狙われているやもしれぬと一晩中見張っていた小五郎が、朝になり一気に弛緩して「行くって……朝メシっすか?」とぼやくシーンが最高に好き。
今やラブコメ要員の一員となってしまった白鳥警部がまだ若くヒョロヒョロで、機密事項を漏らしたり犯人を前に目暮とコントをしたりとろくな目に合ってない。
角ドリルはここ最近ウザくなってきたと思われがちだが、この頃から既に「あたしお父さんの気持ちが分かんない、信じられないようしんいちぃ!」とか言い出すメンヘルバカっぷりである。
なお、本作の上映時は現実でもワインブームであった。








第4位:迷宮の十字路 (第7作/2003年)

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監督:こだま兼嗣 脚本:古内一成


ミステリにのみ焦点を当てると大したことはないのだが、京都や桜、歴史、更にはエンディングテーマなどの要素によって圧倒的な高評価を得続けている作品。
コナン映画で唯一爆発要素がない作品であるが、派手なアクションがなくても雰囲気作りを丁寧に行えば良い映画が出来るということを体現してくれたある意味で貴重な一作である。
来年(第21作)の『から紅の恋歌』は服部と和葉のラブコメということで、本作と比較されて批判を浴びそうな匂いが既に漂っている。








第3位:世紀末の魔術師 (第3作/1999年)

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監督:こだま兼嗣 脚本:古内一成


怪盗キッドがまだ明確な協力者ではなかった時代の世紀末感溢れる一作。
ロマノフ王朝、ニコライ二世などの解明されていない歴史事情に独自の解釈を加えてシナリオを作るところなどはルパンっぽくて非常に面白い。
キッドが狙撃された際、いくらシルエットしか見えなかったとはいえ女の犯人に対しコナンが「今の男は一体……」とあからさまなミスリード発言したのが印象的。
男臭く哀愁漂うエンディング込みで傑作。

なお、インペリアル・イースターエッグは以下のように実在する。作中では緑や赤のエッグが登場したが、他にも青、紫、金など様々な色のエッグが存在し、10億円以上の値が付いたものもある。これにはさすがに「かき集めても2億がやっと」の寒川さんもお手上げである。

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インペリアル・イースターエッグ - wikipedia










---「アニメ史に燦然と輝く大傑作」---








第2位:瞳の中の暗殺者 (第4作/2000年)

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監督:こだま兼嗣 脚本:古内一成


エンタメ視点で見れば「犯行を目撃したヒロインがショックで記憶喪失になり、口封じのため犯人に命を狙われる」という王道サスペンスで十分面白いのだが、大人になってから改めて再見すると、事件に警察権力が関与しているやもしれんという推察が大人たちの間で巻き起こる前半は言い知れぬ不穏が渦巻いており、非常にゾクゾクする。
特に、警視庁刑事部長である小田切敏郎が動機の面から容疑者たり得る、ということを苦悶の表情で伝える目暮と、それを察した毛利の静かな慟哭のシーンはコナン映画史上随一の名シーンと言っていい。
登場人物が揃いも揃って左利きばかりだったりとご都合展開も多いのだが、そんなのは瑣末な問題。子供のころに見たきりの人にはもう一度違う視点から見てもらいたい。










第1位:ベイカー街の亡霊 (第6作/2002年)

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監督:こだま兼嗣 脚本:野沢尚


アニメという枠組みを容易に飛び越えてしまった渾身の一作。
「現代日本の政治家、医者、警察などの権力者は腐っている。そういう大人たちを見て育った2世、3世も腐っているのだから、日本を良い国にするためにはそういう繋がりをリセットする必要があるのだ」と宣言していたノアズ・アークが非情になりきれず、最後の最後で「子供たちが親の力を頼りにすることなく壁を乗り越え成長する姿が見たかった」「僕はただ他の子どもたちと遊びたかったんだ」と吐露するシーンがたまらない。
追い打ちをかけるように「君のお父さんが僕のお父さんの仇をとってくれたんだ」「お父さんに会えるといいね」の台詞で終幕し、ここでは大人たちが号泣必至。
これらのテーマと脚本を前に、圧倒的なロンドンの情景も雰囲気づくりの一要素と化してしまう。

惜しむらくは、これほどの傑作を書き上げた脚本家・作家の野沢尚氏が本作の2年後に自殺をしたことである。彼の作品『破線のマリス』等でも読み取れるが、彼自身が権力というものに嫌気が差しており、2世3世が自らの力で危機を乗り越えて日本を変えてくれることを願っていたのではと考えると、冒頭で自殺するヒロキ君と重なり何とも言えないやるせなさに襲われる。
コナンにおいては間違いなく異質な作品だが、それゆえに大傑作。『瞳の中の暗殺者』以上に大人と子供で視点が変わる作品。もう二度と作れないことは明確。






 * * *





以上、私選・劇場版名探偵コナンランキング2016年改訂版でした。
新作『純黒の悪夢』において「コナン映画の最高傑作!」と語るレビューが意外とあって、いつまでも初期映画を褒めてる俺のようなオッサンはそのうち「懐古厨」「老害」と呼ばれるようになるんだろうなあとさめざめ泣いています。

それはそうと、時計じかけの摩天楼~沈黙の15分までの全作品を担当したプロデューサーの吉岡昌仁氏が今年1月、更に時計じかけの摩天楼~異次元の狙撃手まで(ベイカー街、鎮魂歌、紺碧、絶海を除く)の脚本を担当した古内一成氏が今年7月に逝去されました。コナン映画も大きな転換期に入ったのかもしれません。
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プロフィール

寂々兵

Author:寂々兵
東京の映画祭や名画座に日々指を咥えている田舎在住の一介の映画好き。フリーの事務屋とは名ばかりのふらついた生活を送っています。

好きな監督は
ジャン=ピエール・メルヴィル
ロバート・アルドリッチ
クロード・シャブロル
アレックス・デ・ラ・イグレシア
フリッツ・ラング
岡本喜八
野村芳太郎
など。

最近は専らゼロ年代の北欧ミステリ、海外アニメーション、80年代前後の未DVD化作品の大海をさすらってます。

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