田舎町の悪意と『蝶採り』 93点

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蝶採り(オタール・イオセリアーニ/1992仏伊独)

古城で暮らす2人の老婦人を取り巻く人間たちを描いたシニカルな喜劇で、ユーモラスながらも容赦ない視点がオリヴェイラの『階段通りの人々』を彷彿とさせる。この古城を何とか買い取りたい商社マン役に日本人が出ているのだが、ステレオタイプな人物像はさて置き、数人の社員が優雅に自転車で砂利道を走るなど完全にイオセリアーニ色に染まってて笑えた。時間がゆっくり過ぎていくのを楽しみたい時にこれ以上の作品は無いでしょう。大傑作。







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遁世『世にも憂鬱なハムレットたち』 80点

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世にも憂鬱なハムレットたち(ケネス・ブラナー/1995英)

ケネス・ブラナーは15歳の頃に『ハムレット』を見て人生が変わったという。それが主人公にも投影されており、彼がデブ、ド近眼、マザコン、偏屈、アル中などの憂鬱な三文役者を寄せ集め、『ハムレット』上映のための稽古を始める。とは言ってもトリュフォーの『アメリカの夜』みたいに大仰でゴージャスなものでなく、あくまで私的で繊細な人生の悩みが演劇を通じて少しずつ改善されていく過程が楽しく、シェイクスピアに縁遠い俺のような人間でも問題なく楽しめた。個人的にはブラナー自身が出演していたらなお良かったのだが、見ず知らずの俳優で固まっているからこその説得力なのかもしれない。練習に使われる廃墟みたいな舞台セットも好き。いずれにしても舞台裏物の傑作で、偏愛映画の一本。






(未DVD化)
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本で殴りあうわけではない『私家版』 81点

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私家版(ベルナール・ラップ/1996仏)

静謐ながらも鬼のような文壇ミステリの傑作。加害者視点で淡々と罠を仕掛けていくさまはさながら『ダイヤルMを廻せ!』なんかを彷彿とさせる。理知的でストイックなテレンス・スタンプの立ち振る舞いと、ギャンブル好きな老紳士のエッセンスが最高。allcinemaの解説には「私家版を武器に繰り広げられる完全犯罪を描く」とあるが、別に本で殴りあうわけではない。ちなみにDVD化されていないと思われがちだが、2005年にエプコット(2015年倒産)からひっそりと出ている。当然レンタルリリースもされずソッコーで廃盤となりプレミアが付いた。







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ドクターストップ『激動の1750日』 67点

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激動の1750日(中島貞夫/1990日)

狂犬・渡瀬恒彦が見れる最後の東映やくざ映画(多分)で、この映画でどの親分にもつかず右往左往した挙句、ドクターストップがかかったから手を引かせてくれとイモを引く中尾彬に対して恒やんが巻き舌で放つ台詞「われ今日は川勝、明日は時津とどっちにもええ顔しやがるつもりか」という台詞(うろ覚え)は、『仁義なき戦い 代理戦争』で成田三樹夫が室田日出男に対して放つ「我が親分がつまらんけん言うて今度はあっちの親分や言うてええとこ好きするようなもんはワシは好かん」という台詞のオマージュだ!と思ってはしゃいでるのは多分俺くらいだと思う。







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かつて僕と双子の妹をレイプしてくれた父へ『セレブレーション』 83点

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セレブレーション(トマス・ヴィンターベア/1998デンマーク)

ドグマ95はおろか、デンマーク映画の中でも1,2を争う傑作。親戚一同が集まった父の還暦祝いのパーティで、スピーチを任された長男が「かつて僕と双子の妹をレイプしてくれた父へ、誕生日おめでとう」凍りつく一同。応戦する母。「長男のクリスティアンは物語を作るのが好きな子でしたの、オホホ」長男「そういえばママもパパと僕が裸で抱き合ってる現場を見たことあるよね」コレを見てしまうと、単純な主題をえらく遠回しに語りたがる他のドグマ作家の作品なんてもうかったるくて観れない。観るけど。






※未DVD化


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プロフィール

寂々兵

Author:寂々兵
都会の映画祭や名画座に指を咥えながら日々を過ごす田舎在住の一介の映画好き。最近は80年代前後の未DVD化作品の発掘に邁進中。将来の目標はヒモ。

*好きな監督*
ジャン=ピエール・メルヴィル
キム・ギヨン
クロード・シャブロル
エドワード・ヤン
アレックス・デ・ラ・イグレシア
岡本喜八


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