ムーディーな浄土と『夜行列車』 77点

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夜行列車(イェジー・カヴァレロヴィチ/1959ポーランド)

夜行列車を舞台にした一夜の群像劇……ということだが話の中心は偶然同室となった男と女のメロドラマに偏り切らない物憂げなやり取り。なのでグランドホテル形式を期待した俺はちょっと眠くなったのだが、中盤以降は元カノを追いかけてきた男が走る列車の窓の外からヌッと現れたり、紛れ込んだ殺人犯を追いかける動的な場面もあって意外と楽しめる。コメディ・リリーフ的ポジションとして不眠症の野次馬親父がいたが、そういや同じくポーランドの『鉄路の男』でも荘厳な雰囲気の中に一人そんなジジイがいたなあ。あとこれを言うと怒られそうだが、殺人犯をリンチした男たちの我に返った顔を映していくショットはハーシェル・ルイスの『2000人の狂人』に影響を与えてそう。ともあれ、人生ベスト1に選んでいる人を2人知っているのだが、それも頷ける作品ではあった。







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不屈の矜持『鉄路の男』 79点

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鉄路の男(アンジェイ・ムンク/1957ポーランド)

ハードコアなジジイの最期の矜持。社会派サスペンスとしても秀逸。この老練な映画を26歳が撮ったという事実に畏怖を感じざるを得ない、恐るべし傑作。荘厳な雰囲気の中にも居眠りジジイなんかのシニカル要素が浮かずに機能しているのが素晴らしい。ポーランドは列車の映画が多くて最高。







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メディアと『狼』 62点

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(新藤兼人/1955日)

家庭は困窮、仕事は成績不振で追いつめられた5人の保険勧誘員が郵便自動車を襲う話で、社会的弱者が一致団結してどんどんダメな方向に向かっていく中に当時日本の問題点があれやこれやと描写されているのが巧い。大金を手にしたものの良心の呵責に耐えかねて結局自滅していくあたりなんかはハードボイルドというよりもフィルム・ノワールっぽさがある。新藤兼人独特のジメジメした人間の描き方はあまり好きになれないが、これはとても良かった。








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女性に人気な『男の争い』 75点

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男の争い(ジュールス・ダッシン/1955仏)

仏ケイパー映画の最高傑作では?メルヴィル贔屓の自分もコレには白旗振って降伏せざるを得ない。ジャン・セルヴェ気高すぎ、無言の30分凄すぎ、次から次へと出てくる小道具最高すぎ(あとイーダの乳首透けすぎ)。ところで公開当時のキネ旬によるとこの映画もベッケルの『現金に手を出すな』も男性より女性の方が高く評価していたらしいが、これは非常に興味深い。









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満を持しての俳優メルヴィル『マンハッタンの二人の男』 85点

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マンハッタンの二人の男(ジャン=ピエール・メルヴィル/1958仏)

失踪した議員の行方を記者が捜索する。なんてきな臭さ全開の題材すらも、メルヴィルの手に掛かればここまでシャレオツな逸品が出来てしまう。そこに陰謀めいた大仰なものが存在せず、あくまで各々の個人的な事情やエゴで夜の街をふらふらと動き回っているだけなのが最高に素晴らしい。そして夜明けと共に幕を下ろすのがこれまた至福。相棒役のピエール・グラッセは無論かっこいいが、俳優メルヴィルがとにかくかっこつけすぎ!それでも超かっこいいのだ。ペシミスティックな表情から薄ら垣間見える気取った人情。もっと映画に出てほしかったなあ。








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プロフィール

寂々兵

Author:寂々兵
都会の映画祭や名画座に指を咥えながら日々を過ごす田舎在住の一介の映画好き。最近は80年代前後の未DVD化作品の発掘に邁進中。将来の目標はヒモ。

*好きな監督*
ジャン=ピエール・メルヴィル
キム・ギヨン
クロード・シャブロル
エドワード・ヤン
アレックス・デ・ラ・イグレシア
岡本喜八


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